共存型人支援ロボット

倒立型ロボットI-Pentarによる傾斜面での手押し台車のPush/Pull制御

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研究背景

 人と共存し,支援するためのアシスタントロボットには一般に高作業性と高安全性が要求されるが,相反するこの二つの性能への要求を両立させることは難しい。例えば荷物を運搬するタスク の実現を考える際,作業性を重視して大きな力を出力するアクチュエータを搭載すると安全性が確保されず,逆に安全性の確保のため小さな力のみを出力するアクチュエータを搭載すると重量のある荷物を持ち上げることができず満足な作業性能を得られない。

 

倒立振子ロボットは自重を利用することで高作業性と高安全性を同時に実現でき,重い荷物の持ち上げ動作,重い台車について"Pushing/Pulling"動作が可能である。これら2つの動作を実現する際に,荷物にかかる重力,台車からの反力はロボットから見ると外乱としてとらえられる。これらの外乱によってロボットの作業が困難になるため,作業の実現にはロボットに加わる外乱を推定して補償する必要がある。

  

               

 外乱の推定と補償

 

ロボットにかかる外乱としては様々な箇所に加わる力が考えられるが,本研究ではこれらの力を全て車輪にかかるトルクとみなして推定を行うことで補償する。ロボットに加わる外乱を推定する方法として外乱オブザーバがあるが,一般に外乱オブザーバによる推定にはシステムについて正確なモデルが要求される。

 

本研究では外乱オブザーバの中でもExtend State Observerを用いて外乱の推定を行った。Extend State Observerは一般的な外乱オブザーバに比べ,正確なモデルを必要とせずに外乱についての未知のダイナミクスを推定することができる。

 

 

 

 荷物持ち上げ動作と"Pushing/Pulling"動作の実現

Extend State Observerを用いた外乱推定によりロボットの荷物持ち上げ動作と台車の"Pushing/Pulling"動作が実現された。

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