Bambu Lab H2D 初期不良?
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- Published on June 30 2025
- Written by 高橋隆行
高橋です。久々のブログです。
研究室でBambu Lab の新型3DプリンタであるH2Dを購入しました。X1Cを導入して約1年ちょっと。デュアルノズルとかノズルの簡単交換とか,そして精度向上とか,研究室にとって魅力的な機能がたくさんあって,4月末GW直前に発注しました。そしてそして,実は,研究室とは別に,自宅にも同じものを購入してしまいました。価格的にはちょっと迷ったのですが,ノズル交換とデュアルノズルはやはり魅力で,自宅のX1Cも思い切ってリプレースしてしまいました。
しかし,この自宅で購入したH2Dの初期不良(?)の症状に,その後約2カ月悩まされることになりました。
自宅の方が先に納品されたのでテスト造形してみた結果,なんか造形品質が低くない?(X1Cと比べて)という感じでした。研究室では,OVERTURE の Super PLA+ を標準フィラメントにしていたのでそれを使用したのですが,パラメータをいくら調節しても荒れが収まらない?? 当初は学生たちに「フィラメントのせいかもしれないので,今後は純正のフィラメントにしようか」というような話をしていました。その後,少しして研究室にもH2Dが納品されたので,両者で比較造形をしてみて,びっくり仰天。
添付の右側が自宅で左側が研究室です。当然ですが,同じフィラメント(種類が同じという意味ではなく,同一のスプール),同一の設定,ほぼ同時期の造形です。ちなみにフィラメントは OVERTURE ASA です。写真を右クリックして別のウィンドウで開いてみてください。拡大写真を見ることができます。
何じゃこりゃ! このモデルは,太さ1mmの角柱が2mm間隔に並んでいます。また,この柱は外側に張り出していてオーバーハングになっています。写真は上下逆になっており,写真の上面が造形プレート側です。まあそこそこ難しい形だとは思いますが,左側はさすが Bambu 品質。でも右側は?????。
納品が5月4日,その後約2カ月にわたって悪戦苦闘し,この原因を突き止めました。みなさま,原因は何だったと思いますか? 答えは
ベルトテンション
でした。Bambu Lab の Wiki にあるベルトテンションの調整のページを参考にして調整したところ,下の写真のようになりました。
ほぼ許容範囲です。GWに悩んだ Supuer PLA+ や,その後テストした Bambu の PLA Basic の造形荒れも解消しました。なんでこれに気づいたかというと,自宅のH2Dで造形した物を見ていて,ツールヘッドの運動方向が急激に変わるところで壁の表面がわずかに,数波長の長さにわたって波打っているなぁと思ったことでした。Bambu のプリンタは振動補償もしていますが,ひょっとして補償が追い付かないくらい大きな振動を起こしているのかも? まあ,この考察は外れているかもしれませんが,何はともあれ,結果としてベルトテンションの調節で解決しました。あっ,もちろんキャリブレーションは嫌というほど(時間がかかってほんと嫌になりました)何回もやっていますよ。
みなさんも造形が荒れているなと思ったときには,ベルトテンションも原因のひとつとして疑ってみるといいかもしれません。
あれ? Bambu の技術サポートには連絡しなかったの? と思った皆さん。鋭いですね。実はしたのですが,正直なところ,この問題に関しては全くのあっぺとっぺで役に立ちませんでした。
最初の写真+3mfファイルを送ったとき技術サポートから来た返事は,(Bambu)「設定で最大体積速度が大きいので小さくしてみてください」(OVERTURE ASA のH2D用正式プロファイルは発表されていなかったので,他のフィラメントの設定を参考に自分で調整していた)。(私の心の声)「おいおい,同一機種プリンタで同じ設定でやった結果を報告しているんだけど」。とはいえ,一応やってみますが,当然変わりません。次に来た指示は(Bambu)「フィラメントが吸湿している可能性があるので乾燥させてお試し下さい」。(私の心の声)「おいおい,同じフィラメントを使った比較を送っているんだけど。それに,乾燥には気を使っていて,ちゃんとシリカゲルの入った袋などを利用して乾燥状態を保っているんだけど」。とはいえ,一応やってみますが,当然変わりません。
(私)「プリンタの初期不良かもしれないから交換をお願いできますか?」。(Bambu)「プリンタ本体の故障とは断定できません。プリンタ本体に問題があると『お考えなら』お送りください。ただしこちらで検証して不具合が無ければ,往復送料をご負担いただきます。」。(私)「では,写真でお送りした現象がそちらで再現されれば,不良判定になりますか?」。(Bambu)「...(回答無し)」。途中少し省略していますが,上記のような的外れな指示やちょっとカチンとくるようなやり取りなどが続き,なんやかんやで1か月半が経過しても進展なし。もう,送料が往復かかってもいいからすっきりさせたい!!と思った矢先,結局自力でたどり着いたのが上記のベルトテンションでした。
Bambu の製品はとても良いと思うのですが,新物に手を出すときは覚悟の上で。特に,初期不良でのプリンタ交換の依頼は,造形品質不良が理由なら怖くてできない,と感じました。上記のやり取りから推測するに,もし送ったとしても「プリンタの故障ではない」と言われて返された可能性も(かなり)あったかなと。Bambu の技術サポートは改善余地ありと思いました。今後に期待したいですね。
今回の件,もし研究室に同じプリンタがなかったら「この品質??」と思いながら迷宮入りになっていたかも.....(怖)。
みなさま,よい3Dプリンタライフを!